近代農業による農薬や化学肥料の便利さを知った私たちは、わずか数十年で頭打ちをすることになった。そして今日、農学や有機農業などで自然農法が紹介され、伝統的農法も見直されつつあるが、ここでもさらに問題視される新農法も出現してきている。


すべてに利便性を求め、成長してきた今日までの日本経済であるが、これからの新しい提案にはその利便性の追求によるしっぺ返しの大きさ、重大さを知る必要がある。このことは、多くの人々から語られてきたことであるがその速度と収穫量、利便性の問題から、また従事者の高齢化の問題からもまだまだ伝統的な生産法への回帰は困難なものになっている。


農生産において一番の問題点は、近代農法の悪さを知っても、今日まで侵し続けた土壌の即刻な問題の改善が難しいことにある。また、土壌が悪い、土に力がないということは、生態系の狂いから生じていることも良く知る必要性がある。さらに植物が病気になる、虫が着くということもこの生態系のバランスが崩れて引き起こされているということも理解しなければならない。そしてあらゆる角度から、生命体生態系のバランスと循環を良く知ることも必要となる。


伝統的農法にはなかった新農法を考えていく上でも、本当の意味での自然農法と言えるか二次汚染はないかという点で、かなりの研究が必要となる。


自然資材とされている、動物の糞尿や敷きワラなどによる堆厩肥、炭の製造過程で生ずる木酢液による殺菌・殺虫、多く聞かれる微生物資材、すべては安全なのだろうか。
いくつか検証をしてみよう。

   

■ 堆厩肥

 動物に抗生剤などの飼料添加物や動物用医薬品は使用されていないだろうか。
飼料にしている植物類の育成過程、乾燥などによる保存法で薬剤は使用されていないだろうか。


 今日では堆厩肥は環境悪化による汚染物質が濃凝縮した物となり、その危険性も取り上げられている。

 

■ 微生物資材

 自然界にない物質に出会った微生物の変化していく速度、またその行方・形状構造変化はよく理解できているだろうか。


自然界にない物質の処理をまかせた微生物は、二~三代ですぐに代謝にかかわる組織変化をおこない、中には本来の物と全く異なる微生物に全体組織を変化させてしまうものもある。これらの微生物は、地球の自然界摂理に存在し得ない微生物として、他の生命体に害をおよぼさないだろうか。


今日の自然界に多く存在する化学物質が引き起こす二次的な害は、私たちの知識的な計算からは答えを割り出すことはできない。直接的な害よりこの二次的、三次的な害の方がはるかに恐い。これが誌面やTVでよく耳にする環境ホルモン(外因性内分泌攪乱化学物質)である。これらは、大いに微生物にも影響をおよぼしている

 

■ 自然界のもの自然のものの区別は明らになっているか?

 農薬と木酢液が引き起こす、土壌の強酸性化の違いは明らかになっているだろうか。

 
また、以前その土壌に使用されていた化学物質との反応は明らかになっているだろうか。結果的に同じ対処療法になっていないだろうか。

 

■ 遺伝子組み換え技術

 技術は次々と発表されているが、同様にその種の持ち得た限りない自然・天然力はすべて研究しつくし、理解した上での操作なのだろうか。


DNAの存在構造が明らかになって、どのくらいの年月が経ているのだろうか。また、本当に真のDNA構造が明らかになったのだろうか。

   

これからの農法に必要なものとは・・・

 自然界の生体システムを私たち人間の手にゆだねることができるだろうか。45億年のすべての知識がその人々に備わっているだろうか。


自然農法・自然治療というからは、すべてを自然界のものにまかせることを意味する。


堆厩肥づくりや土壌改良を行う場合は、対処療法ではなく本質からの改善を考えなければならない。


それには、そのものに使用され蓄積されてきた化学物質の分解が先決である。
生物を使う時、よく働いてもらうためには微生物に快い最良の環境を整え、その生態系を崩さないことが必要不可欠である。


自然にまかせることは時間がかかりすぎると思われるが、自然・天然の力のほどは、私たち人間の科学力のおよばない早さが伺われる

 

 扱いにくい「自然・天然界の力」ではあるが、熟知すればこれ程わかりやすく、使いやすいものはないようにも感じられている。そして、私たち人間を含む生命体には、それを感じ利用できる力が備わっている。

       
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